コーチング導入事例
今回は未来航路株式会社様に、コーチングを導入した背景や効果をインタビューさせていただきました。
オフィスに伺うたびに、社員の皆さんが目を合わせて明るい挨拶をしてくださる様子から、人を大切にしていることを肌で感じています。また、事業内容からは、社名の通り未来に向かって変化を楽しみ、挑戦する社風が伝わってきます。
すでに社員の皆さんが良好な関係を築いているように見える未来航路様が、なぜコーチングの導入を決め、実際にどのような効果を感じているのか、ぜひご一読ください。
(河原さん)未来航路株式会社はものづくりの会社で、主に2つの事業を展開しています。ひとつは、港湾や漁港で船が着岸する際、車が海に落ちるのを防ぐための車止めと、それに関連する製品を製造しています。もうひとつは、発達障害のある子どもたちをはじめ、子どもの発達を支援する感覚統合療育用の遊具を製造しています。
「どうして港湾の車止めを造っている会社が遊具をつくることになったのか」と聞かれることが多いのですが、始まりは2013年に感覚統合理論に基づく様々な遊具を考案・製作しているジェフ・ロビンスさんから相談を受けたことでした。最初は、トランポリンのフレームをつくってほしいという要望を受けてそのフレームだけを製造し卸していたのですが、しばらくしてジェフ・ロビンスさんが経営上の理由から事業をたたむことを知らされました。そのとき、製造をやめる前に一度トランポリンが使われている特別支援学校に行ってみることにしたんです。その現場で子どもたちの顔をみたときに、「この事業はやめてはいけない」と思い、自社製品として製造を続けることに決めました。
(河原さん)経営ビジョンに“企業は人”という言葉を掲げています。ものづくりに情熱を注いだり、新しいものを作っていったり、何においても会社は”人”にかかっていると考えているんです。そのために、まずは自分自身が社員とフランクに話せるように努めないといけないと思っています。
ただ、社員全員が同じように考えて行動できるわけではありません。以前から飲み会や社員旅行も実施していますが、もう少しお互いに本音を言えるような機会を他にもつくりたいと思っていました。
リーダー層がコーチングスキルを身につけ、部下に対して実践できるようになってくれれば一番よいですが、その前に栗原さんのコーチングを受けることで、「こういうふうに質問されたり傾聴されりすると自分の素が出てくるんだ」という体験をすることが大事だと思いました。部下に本音で話して欲しいと思う前に、自分自身が本音を話すという体験を通して「今まで自分に傾聴する姿勢があっただろうか」と考えるきっかけになればよいと思い、導入を決めました。
(河原さん)あるワークショップでファシリテーターをしている栗原さんに出会いました。登壇者の話を傾聴して、うまくまとめて次につなげるという仕事ぶりを見たときに、「ああこういう役割の人がいるんだ」ということを知りました。社内会議で私がファシリテーションをして社員の声を引き出そうとしたこともありましたが、みんな違和感があるんですよね。だから、専門のスキルを持った上手な人にやってもらいたいと思いました。
(河原さん)「スプリングミーティング」といって、毎年、年に1回全社員で集まって1年間を振り返る機会を設けています。その中で栗原さんに3時間のワークショップを実施してもらいました。また、会社の核となるリーダー層の中でも、部下との関わり方に悩んでいる社員を中心に、営業部、製造部、技術部、品質管理部の部課長4名を対象としたチームコーチングとパーソナルコーチングを依頼しました。ちょうど気候変動に備える製品開発のプロジェクトが動き出す時期だったので、チームコーチングはそのプロジェクトをテーマに依頼することにしました。
(河原さん)スプリングミーティングは、毎年3日間に渡って実施しているのですが、1日目の午前中にグループワークを実施したことで場がほぐれて、その後のプログラムでも意見が出やすい雰囲気になりました。
以前からたくさん考えてくれているのに発言を控えている社員や、恥ずかしさがまさって発言できない社員、否定されることを恐れて発言を我慢している社員がいることを感じていました。しかし、このワークショップでは4人の少人数グループにすることで発言しやすくなり、社員からも初めて見るようなよい笑顔がこぼれていました。また、自分では気づかない自分の強みを他者から伝えてもらうことや、自分が大切にしてるマインドを知ってもらうことで、日頃の業務だけでは知りえない部分をお互いに知ることができたと思います。
(古舘さん)最初は、私以外の3名は年上なので先輩方に自分の思ったことを言えるだろうかという不安がありました。また、そもそもコーチングとは何かがよくわからなくて、YouTubeで調べてみたものの、実際に受けてみないとよくわからないという印象でした。だから、今から何をされるんだろうという不安と期待感がありましたね。
(松崎さん)気候変動に備える製品開発のチームのメンバーでチームコーチングを受けることになりましたが、最初はプロジェクトのゴール設定が漠然としているように感じていました。なんとなくみんなが同じ方向を向いているだろうと想像していたものの、具体的な言葉にもなっていないし、数値化もされていない状態で、その微妙なずれがたくさんあったと思います。
(大谷さん)まず、この時間は何を大切にしたいかという「グランドルール」を自分たちで決めました。そのルールがあることで本音で話しやすくなったと感じています。もともと、自分で考えることはしてきましたが、年下の社員が意見を言ってくれるようになったおかげで、その意見を踏まえて自分の考え方ややり方を考え直すようになりました。飲み会の場以外でも、日中に深いコミュニケーションが取れるんだということを実感しています。
(松崎さん)このチームで実現したい成果を具体的な言葉や数値にしたことで、いつまでに何をするかというゴールが鮮明になりました。また、お互いに共通認識が取れているおかげで、「これで間違っていないよね」、「ここが足りていないよね」とお互いに確認をとりながら、確信を持って業務を進めることができました。納得しているぶん、精度も高く効率よく進めることができたと思います。
コーチが細かい感覚で言語化を促してくれるので、共通認識が取れていると思っていたけど言葉にしてみると実は違ったということに気づくことがありました。その経験を通して、他者と一緒に仕事をする上で本音で語ることや言語化することの重要性を実感しています。逆に、本音で語り合っていないと「なんか違うんだけどな」と思いながら業務を進めることになってしまうので、それが成果に大きな差として現れてしまうと思います。
また、自分自身の変化としては、コーチング以外の時間にも「自分はどうしたいのか」と自問自答する癖がついたと感じています。
(鎌田さん)コーチング以外の時間にも4人で集まって話す機会が増えました。今も「相手に敬意を払いたい」という気持ちから、完全に同じ目線で対等に話すことは難しいと感じることもありますが、もしかしたら今まで自分で壁を作っていたところがあるかもしれません。
また、以前は他者に意識が向いていましたが、他者を変えるのではなく自分自身が変化することで他者を受け入れられるようになったと感じています。今までも自分で気づいて行動を変えるということに取り組んできましたが、コーチングを通してさらに気づく機会が増えたので、これからは他の社員にもそれを広げることができたらよいと思っています。
(古舘さん)以前は年上の社員に対して必要以上な気遣いをしていましたが、今は「きっと言ったらわかってくれるだろう」という安心感をもって依頼をすることができるようになりました。社内で相談しやすくなったことでスムーズに仕事が進み、最終的にお客様にもよい仕事を届けられていると思います。
個人的には、自分の感情や本音に意識が向くようになったことで、「自分ってこんなふうに考えているんだ」という気づきがありました。さらに、思ったことを相手に伝えることで自分もスッキリするので、社内の居心地の良さもより感じるようになりました。
また、最初の頃は、普段あまり話さないことを話すので頭が疲れていましたが、だんだん「コーチングは何を話してもいい場なんだ」ということがわかって、今では楽しみな時間になっています。
(河原さん)会社を次のステージに進める上で、会社は”人”にかかっていると思う経営者の方には、ぜひお勧めしたいですね。コーチングの導入を決めたときに、「会社としてコーチングに投資をしてくれてありがとうございます」と伝えてくれた社員もいたので、経営層に限らずコーチングの価値に気づいている人はいると思います。
(大谷さん)特にチームコーチングはお勧めしたいです。ひとつひとつ言葉にすることで相手の奥にある真意まで知ることができて、本当に同じ方向を見ることができると思います。
(松崎さん)同じ業界や会社の人同士だからこそ「きっとわかっているだろう」と言葉にせずに省略してしまう部分がありますが、コーチが同じ業界ではないからこそ出てくる純粋な問いが役に立ちます。それに答えようとするときに気づきが起こるので、ぜひ体験して欲しいです。マネジメントに悩んでいる中間管理職の方や、チームの意識が揃わないことでプロジェクトが円滑に進まずに悩んでいる方には特にお勧めしたいです。
(鎌田さん)自分や会社を変えたいと思っている人にお勧めしたいですね。ちょうど、今朝の部課長会議で自ら自分の意見を伝える機会があったんですが、こうして伝えてみようと思えたのはコーチングの成果かもしれません。
(古舘さん)個人で受けるよりも、社内の複数名で受けることをお勧めします。一緒に同じ経験をしている人がいることで社内のコミュニケーションが取りやすくなり、効果につながると思います。
<未来航路株式会社>
設立:1987年7月7日
本社:福岡県糸島市志摩松隈297番5
事業内容:
港湾・漁港用製品の製造販売、独自工法による車止め撤去等工事
感覚統合療育遊具の製造販売
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